
「まだまだごちゃごちゃしてるけど、なんとなくマンガらしくなってきた」——5chのAI板「【画像】AIで生成した画像を貼るスレ ★2」で、こんな一言とともに11枚の生成画像が投稿されました[5]。このスレは、生成画像を気軽に貼って見てもらうための場所です[6]。前回の追跡記事では、プロンプト共有と評価の場になりつつある点を取り上げました。今回はその後の動きとして、単発の絵から一歩進んだ「物語形式」への挑戦と、2026年のツール環境が個人创作者に何をもたらしているかを合わせて見ていきます。
転機となったのが投稿>>693です。この投稿者は生成画像を「立志建立編」「由緒ねつ造編」「勢力拡大編」「ライバル登場編」という章立てで整理して公開しました[6]。立志建立編に7枚、勢力拡大編に7枚、由緒ねつ造編に2枚という内訳で、バラの絵を並べるのではなく起承転結を意識した連載の形です。章名だけ見れば歴史物語のようですが、自分の作品世界を段階的に組み立てていると読めます。「由緒ねつ造編」というユーモラスな章名からは、創業譚や歴史パロディのカルチャーを楽しもうとする姿勢もしわからえます。
その後の投稿からは試行の過程がそのまま見えます。>>720では画像を11枚セットで並べ、「なんとなくマンガらしくなってきた」と自己評価しました[5]。>>803では8枚を投稿し、「細かいところで色々と修正必要だと思うけどそのまんま」と限界も正直に認めています[3]。完成品の披露ではなく、途中の状態ごと共有して直していくスタイルが、このスレの流れのようです。
個人のこうした挑戦を支えているのは、ツール側の進化です。2022年のStable Diffusion公開を機に爆発的に普及した画像生成AIは、「誰でも使えるツール」から「業務インフラ」へ進化したとも述べられています[4]。2026年の市場は、Stable DiffusionやMidjourneyに加え、FLUX.1、Adobe Firefly、DALL-E 3、Gemini Imagen、NanoBananaなど主要7モデルに増え、「どれを選ぶか」自体が専門知識なしには判断しづらい状況になったと解説されています[4]。主要モデルの多くは、ランダムなノイズから少しずつノイズを除いて絵を仕上げる拡散モデルという推論の仕組みがベースです[4]。また、2025年12月リリースのMidjourney v7は、キャラクターの一貫性を保つコマンド強化や「不気味の谷」の軽減を進化ポイントとして掲げています[1]。同じ登場人物を何枚も描き続ける漫画形式では、この一貫性の向上が効いてくると思われます。料金も月額10ドルで月200枚、30ドルでリラックスモード無制限など、個人でも試しやすい水準です[1]。
しかし、趣味の試行と業務利用のあいだには、まだ大きな溝もあります。業務の事例を見ると、大手アパレル企業が2026春夏コレクションのキャンペーンビジュアルにMidjourney v7を採用し、従来写真撮影に200万円以上かかっていたコストを85%削減、期間も2週間から3日へ短縮したと報じられています[1]。別の記事では、ブログサムネイルの生成をClaude Code+Unsplash APIで完全自動化し、制作時間を約70%削減したという実運用データも紹介されています[4]。一方でスレの投稿者は「修正必要」と認めているように[3]、仕上げの手作業は個人にも業務にも残ります。MidjourneyにはAPIがなく文字描画も不安定という弱点[1]や、オープンソース系で特定の絵柄に特化させるLoRAでは学習データの権利管理が商用利用の課題になるという指摘もあります[4]。
評価の方法そのものも動き始めています。海外では人間のブラインド投票で画像生成AIを順位付けるランキングが登場しました[6]。12ツールを比較した検証記事や、SDXL・FLUX.1・SD3.5といったStable Diffusion系モデルを用途別に比べた記事、無料・有料を対比した記事も増える一方です。情報が分散しすぎて、逆に選択の負担が大きくなっている面もあるようです。その分、「人気のモデル」ではなく「自分に合うモデル」を選ぶ発想が重要だと説く記事もあります[4]。Xのトレンドに「AI事業」という語が入った日もあり[2]、生成AIがビジネスの語彙として定着したこともしわからえます。
スレの連載挑戦は、まだ「ごちゃごちゃ」の段階です。それでも章立てという構成力と、過程を晒して直していく姿勢は、業務側の85%コスト削減[1]や70%の時間削減[4]と同じ「試して、短くする」改善ループそのものです。前回記事で見えた「共有と評価」の文化に、今度は「構成と連載」という新しい軸が加わった形です。個人と業務の距離がどこまで縮まるか。「ライバル登場編」まで進んだ物語がどこまで磨かれるかは、それを見るうえでいい指標になりそうです。




RECENT COMMENTS