
「我々がずっと待ち望んでいたQwen3.8 35B」——Redditのr/LocalLLaMAにこんな題の投稿が立ち上がり、注目を集めています[1]。話題の主役は、Recursive社が公開したコーディングエージェント向けモデル「Flint」です。長らく定番とされてきたQwen3.6-35B-A3Bの座を狙う挑戦者として、コミュニティが期待を寄せている形です。
Flintの構成には、ローカル勢向けの工夫が凝らされています。全体で40Bパラメータのうち、推論時に実際に動くのは2.5BだけというMoE(使う部分だけを動かして計算を減らす仕組み)です[1]。さらに、注目すべき一部だけを見て計算を減らすスパースアテンションと、通常のフルアテンションを3:1で組み合わせました[1]。一度に扱える文章量(コンテキスト)は262kで、長いコードベースの処理にも向いた設計のようです[1]。
ベンチマークの数字も具体的です。TerminalBench 2.1とSWE-bench Pro v2では、Qwen3.6-35B-A3Bを圧倒的に上回りました[1]。結果の表はHuggingFaceのリポジトリで公開されており、それ以外の項目でも同点かそれ以上とされています[1]。外部メディアの受けも強く、WIRED紙は「scary good」(恐ろしいほど良い)と報じました[1]。TechCrunchによると、FlintはノートPCで動くコーディングモデルで、開発元いわくその大部分はAI自身によって構築されたといいます[5]。
ローカル勢にとってうれしいのは、すぐ試せる環境が整った点です。llama.cppへの対応コードと、量子化(重みを圧縮してメモリを節約する仕組み)版のGGUFがセットで整備されています[1]。投稿者は、GPUをあまり持たない層のコーディングエージェント環境を大きく動かす可能性があると期待し、早速ダウンロードして検証を始めました[1]。オープンウェイトの40B MoEローカルコーディングモデルとして、各媒体が一斉に取り上げています[4]。
対戦相手のQwen3.6-35B-A3Bは、Qwen3シリーズの設計思想の上にあります。技術レポートによると、Qwen3は複雑な推論用のthinking modeと高速応答用のnon-thinking modeを1つのモデルに統合した点が特徴です[3]。チャット向けと推論向けでモデルを切り替える手間がなくなった点も、シリーズ全体の大きな変更点です[3]。タスクの複雑さに応じて推論に回す計算資源を調整する「thinking budget」の仕組みも備えます[3]。0.6Bから235Bまでのラインナップが、119言語対応・Apache 2.0で公開されています[3]。このクラスの能力評価記事も出ており[6]、35B-A3B型がローカル勢の定番であり続けた事情がうかがえます。
比較の信頼性を支えるのが評価手法です。Qwen3の評価ガイドでは、フラッグシップのQwen3-235B-A22Bを対象に、thinkingとnon-thinkingの両モードそれぞれで、数学推論・コード生成・エージェントとツール利用・多言語性能など6領域を確認する手順が示されています[2]。GSM8Kを使った評価コードの例も添付されています[2]。HuggingFaceでもQwen3の評価のベストプラクティスを巡る議論が続いています[7]。Flintの公開ベンチマークも、こうした土台の上で誰でも追試できる状態になっています。
しかし、ここで思わぬ展開です。投稿者が追記した初期報告によると、このクラスの標準は依然としてOrnith-1.5のままだったのです[1]。実装初期の不具合の可能性もあるものの、期待していたほど芳しくないと投稿者は率直に認めています[1]。カタログ上のベンチマーク数値と、手元で動かしたときの使用感との間には、まだズレがあるようです。
一方で、Qwen3系を巡るコミュニティの動きは止まりません。0.6Bの小型モデルにファインチューン(追加学習で調整すること)を施したモデルがHuggingFaceに投稿されるなど[7]、規模を問わず派生が続いています。Flintについては、投稿者による本格的なベンチマーク報告が今後数日の中で出る予定です[1]。ベンチマークの数字と実使用の差がどう埋まるかが、次の焦点になりそうです。









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