続報・消えたRTX 5090 AI企業の買い占めで定価の3倍超

📌 エグゼクティブサマリー
NVIDIA RTX 5090が米主要店舗の在庫から消え、第三者価格は発売時の1999ドルから6500〜9500ドルに急騰しています。香港メディアの写真では中国のAIサーバー組立現場に小売箱が積まれており、AI需要がゲーミングGPUを吸い上げる実態が浮き彫りになりました。

ゲーミングGPUの旗艦が、店頭から消えています。NVIDIAのGeForce RTX 5090は、Newegg・Amazon・Best Buyという米主要店舗の公式在庫から、2週間足らずで姿を消しました[4]。残るのは第三者業者の出品だけで、価格帯は6500〜9500ドル。2025年1月の発売価格1999ドルの3倍超、高いものでは4倍を超えます[4]。6699ドル以上の出品には定価から235%以上の上乗せという報告もあります[2]。原因は供給トラブルではありません。AI企業がゲーミング向けカードをパレット単位で買い込んでいるためです。

RTX 5090の価格推移と業務用GPUの比較
グラフ: RTX 5090の価格推移と業務用GPUの比較
記事全文: Nvidia RTX 5090 Vanishes as AI Demand Drives Prices to $9,500
画像出典: 記事全文: Nvidia RTX 5090 Vanishes as AI Demand Drives Prices to $9,500
記事全文: NVIDIA RTX 5090 Is Getting Harder to Find — and AI Companies Are the Reason
画像出典: 記事全文: NVIDIA RTX 5090 Is Getting Harder to Find — and AI Companies Are the Reason

以前この連載で追跡したのはRTX 5090のコネクタ溶損でしたが、今度の問題はもっと根本的です。そもそもカードが店に届かない。決め手になったのは、香港メディアHKEPCの写真です。ASUS ROG、MSI、GigabyteブランドのRTX 5090が、小売箱のままAIサーバー組立現場でパレットに積み上げられていました[2][4]。データセンター向けGPUではなく、ゲーマーが店で買うのと同じ製品です。Redditのr/LocalLLaMAでも「中国で暴露された巨大なAI転用工場。Founders Editionも含む」と題して取り上げられ、話題が一気に広がりました[1]。

なぜAI企業は業務用でなく消費者向けカードを選ぶのでしょう。NVIDIAのワークステーション最上位RTX PRO 6000は、96GBのVRAM(GPUの作業用メモリ)を搭載し1万6000ドルします[4]。一方、多くのAI推論はRTX 5090の32GB GDDR7で足りるといいます[4]。GPUコア(GB202)の演算性能は業務用カードとほぼ同等で、5000ドルのRTX 5090でもAIサーバーとして成立つ、という計算です[4]。32GBで足りる用途なら、1万6000ドルのカードを買う理由がない。この割の良さがパレット買いの動機になっています。

中国向けの事情も重なります。米国の輸出規制により、中国には性能を抑えたRTX 5090Dが割り当てられています。しかし中国の業者は規制外の国際版RTX 5090をまとめ買いし、AIワークステーションに組み込んでいるといいます[2]。性能差は大きく、RTX 5090は3352 AI TOPS、RTX 5090Dは2375 AI TOPS。AI TOPSはAI処理能力の指標で、国際版が約4割上回ります[2]。根っこにはメモリ不足もあります。GPU用の高速メモリGDDR7について、2026年にはAIデータセンターがハイエンドDRAM生産の約70%を消費するという予測があります[2]。小売に回る分が減っているわけです。米小売の中央値は6月の4299ドルから9月初めに5199ドル超へ上昇しました[4]。RTX 50シリーズ全体でも6月以降最大39%の値上がりで、RTX 5090は2月価格比41%超です[2]。

一方で、この買い占めにはグレーな側面もあります。NVIDIAのGeForceドライバーライセンスは2017年以降、データセンターでの利用を禁じています。しかし執行は実質機能しておらず、AI企業は消費者向けカードを取得し続けています[4]。NVIDIA自身は品薄について公式コメントを出していません[2]。報道では最大30%の追加値上げが3度目として計画されているとも伝わります[2]。

打撃を受けるのは個人ユーザーです。RTX 5090はローカルLLM(手元で動かす大規模言語モデル)向けの人気機材で、プロンプト処理(入力を一括で読み込む段階)で毎秒1万トークンというベンチマーク結果も報告されてきました[6]。文脈長を伸ばすテストでも注目が集まっていたカードです[5]。ところが市場は底辺まで値上がりしています。定価339ドルで再発売されたRTX 3060(12GB)ですら450ドル超です[2]。日本のXでも「パーソナルAIエージェント」がトレンドに入るなど[3]、個人がAIを手元に置く動きは盛んなのに、その入り口のハードウェアだけが遠ざかっています。

背景には、AIの計算需要が消費者向け製品を飲み込み始めた構造があります。ジェンスン・フンCEOは、OpenAIのGPT-6 Astraの学習に10万基のNVIDIA GPUが使われたと明かし、その4倍への増強も計画しています[4]。カードの型は明示されていませんが、需要の向きは同じです。フラッグシップがサーバーラックに吸い上げられ続ける限り、RTX 5090の店頭復帰は容易ではないでしょう。在庫と価格の動き、そしてライセンスや規制の扱いがどう変わるかが、次の焦点になります。

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