
📌 エグゼクティブサマリー
NVIDIA未発売のRTX 3080 20GB改造カードが中国で登場し、AI向け性能制限を解除するツールでの動作も確認されました。2枚構成の実測でprefillが+20%改善、decodeは0%。規格外カードとコミュニティ製アンロックの組み合わせが注目されています。
NVIDIAが一度も売っていないGPUが、中国で現実に売られ、AI推論まで速くなっています。主役はRTX 3080の改造カードです。公式仕様の10GBからメモリを倍の20GBへ増やしたもので、最近になって性能制限を解除するコミュニティ製ツールでの動作も確認されました。

カードを手がけたのは中国ブランドのFengpo(風魄)で、製造は深圳のChuangyu Cloud Intelligenceが担っています[2][7]。GDDR6Xチップ1GB×20個を、基板の両面に実装しています[2]。RTX 3090と同じ手法で、320bitのメモリバスを保ったまま容量だけを増やしました[2]。メモリ容量は、ローカルで動かせるモデルの規模を左右する部分です。開発にNVIDIAは関与しておらず、中国のローカル市場向けと思われます[2]。実はNVIDIA自身も、かつてRTX 3080の大容量版を検討しながら見送った経緯があります[3]。以前もRTX 3070 Tiの16GB版などは登場していましたが、3080の20GBは特に珍しい存在です[2]。


外観はPNY Verto RTX 4090の冷却器を流用した、3スロット厚の大型モデルです[3]。補助電源は30シリーズでは珍しい16ピンで、箱にはAI計算向けの文言が添えられています[2][3]。中国での価格は約450ドル。設計は大規模なデータセンター向けではなく、ゲーマー向けのようです[3]。
実力も確かめられています。中国の技術ブロガーGPU Girlがゲームやベンチマークで、より新しい世代のRTX 5060 Ti 16GBと比較したところ、RTX 3080 20GBが上回りました[3]。NVIDIA公式ドライバーでこうした規格外カードのサポートは保証されていませんが、安定して動作すると報告されています[2]。
もう一つの話題が、Zaggita氏によるGPU性能アンロックです。NVIDIAは消費者向けカードで、AI処理に必要な特定のハードウェア命令の計算速度を抑えていました。スペック通りには推論が動かない状態です。このアンロックは、その制限を解除するツールです。Redditのr/LocalLLaMAでは、ユーザーが手元のRTX 3080 20GB×2枚で試した結果が報告されました[1]。
テスト環境は古めの構成です。CPUはThreadripper 1920x、GPUはPCIe 3.0 x16で2枚挿し、各カードを240Wに制限しました[1]。OSはProxmox 9.2.3上のDebian 13コンテナで、推論エンジンはvLLM 0.32.0です[1]。2枚のGPUに処理を分割するテンソル並列で動かしています。モデルはQwen3.8系の27Bで、AWQ-INT4という量子化(重みを圧縮してメモリを節約する仕組み)を適用しました[1]。KVキャッシュ(会話の履歴を一時保存するメモリ領域)は、fp8という圧縮形式で保持しています[1]。MTP(複数トークンを先読みして生成を速める機能)も有効化しています[1]。
結果は明快でした。prefill(プロンプト全体を一括処理する段階)が+20%改善した一方で、decode(トークンを1つずつ生成する段階)は0%、つまりまったく変わっていません[1]。チャットで最初の一言が出るまでの待ち時間に関わるのがprefill、回答の速さを決めるのがdecodeです。入力が長いほどprefillの負担は増えるため、+20%は長いプロンプトで効いてくる数字です。ただしdecodeが不変な以上、効果は用途によって限定的になると思われます。
意外なのは、こうした規格外カードが単発ではない点です。中国のフリーマーケットではROG Strix製の20GB版RTX 3080が見つかり[8]、修理業者が大量にメモリ増設の再はんだを行っているという報告もあります[6]。ソフト側の試みもGitHubに蓄積しています。1枚のGPUを仮想マシンに貸し出すvGPU機能を解放するvgpu_unlock[5]はその代表です。Ubuntu 22.04とRTX 3080×2枚で、fp32(単精度)性能の解放を検証するリポジトリ[4]もあります。非公認の20GBカードと、公式の制限を外すソフト。この2つがそろったことで、RTX 3080は推論用途で第二の人生を歩み始めたようです。









RECENT COMMENTS